建設業経理事務士
4級講座



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簿記の原則

簿記は仕訳に始まり仕訳に終わる

簿記における一連の流れは、取引の発生に伴って仕訳を作成(仕訳帳)し、それらをそれぞれの帳簿に記帳(元帳の作成)、記帳された合計を勘定科目ごとに集計(合計試算表の作成)し、決算時に係る処理(減価償却や棚卸など)を仕訳し、精算表を通して最終の計算を行い、貸借対照表と損益計算書を作成するということになります。
この取引のプロセスにおいて、それぞれに必要な処理があり、備えなければいけない知識もあるわけです。
これが、ここで学ぶ内容となります。




貸借対照表と損益計算書

「貸借対照表」とは、その事業における財政状態(保有する財産の結果)を表しているものであり、「損益計算書」とは、経営成績(計算期間の儲けの結果)を表しているものです。
貸借対照表で算出された利益と損益計算書で算出された利益は同じ数字になります。これが複式簿記の特徴です。
後述しますが、仕訳を行うことで、互いに同じ数字が右と左に入ることから、このような結果が出ます。


資産 資産勘定には、現金、当座預金、普通預金などのいわゆる財貨、貸付金などの債権、建物や備品、土地などの固定資産と言われるものが入ります。
負債 負債には、借入金などの弁済義務を負うものが入ります。
資本 資本には、当初会社等を設立する場合に拠出された財貨を資本金として表示します。
原価 工事原価には、材料費、労務費、外注費、経費などの工事に係る原価項目を表示します。
費用 費用には、工事に関係しないで係る経費(給料、事務用消耗品、通信費、支払家賃、支払利息)が入ります。
収益 収益には、建設業では、完成工事高という科目で売上が入ります。
利益 利益は、収益から費用を差し引いたものとなります。(収益-費用=利益)

資産・負債・資本・原価・費用・収益に属する勘定科目を覚えることは必須となります。
例えは、現金と聞いた(或いは見た)場合、即座に資産項目と言えるようになるまで練習をしなければなりません。
4級では科目数も少ないですが、全ての基本になりますので繰り返し繰り返し学習をする事が肝要です。
しかし、慣れてしまうと「どうしてあんなに苦労したのだろう」と、昔の出来毎のようになりますから安心してください。

借方と貸方

簿記を学習して最初にぶつかる課題です。帳簿組織や仕訳を行う上で必要となる概念です。


よく見ると向かって左側が「借方」右側が「貸方」となっています。この文言をじっくり見ると「借」という字は借金や借入金などに見られるように、こちら側には借に関連した項目が表示されるのかなと考えてしまいます。また、「貸」という文言から、貸付金などのように、債権と称されるような科目はこちらに表示されるのかなと考えてしまいます。
ここでのポイントは、どうして、このような表記になっているかということは考えないということです。我々は漢字を使う文化ですので、そこから類推される文言を追求しがちですが、こと簿記においては忘れてください。
そこで、各勘定項目(資産・負債・資本・工事原価・費用・収益)で借方/貸方の発生(増加)・消滅(減少)が異なるということを頭に入れておく必要があります。
例えは、現金が増えたら、その数字は右側(借方)に記入します。???なんかわかんない!という意見が出そうですが、ここでは「ふーん」という感じで大丈夫です。



勘定項目の増減

資産勘定や負債勘定など、それぞれの項目で増加及び減少の位置(借方又は貸方)が変わります。
ここでは、その位置(借方又は貸方)を把握しましょう。前にも述べましたが、どうしてそちらなのということは忘れるようにしましょう。

【貸借対照表】

資産に関する勘定

資産に属する勘定は、左側(借方)が発生、右側(貸方)が減少となります。
例えば、現金500,000円で建物を購入したとします。 この場合の仕訳は、
1.現金という資産が減ったので、現金勘定は貸方(右側)となります。
2.建物という資産が増えたので、建物勘定は借方(左側)となります。
以上を仕訳でみますと
( 借 方 )      ( 貸 方 )
建物 500,000円 / 現金 500,000円

となります。この基本を覚えておくようにしましょう。


負債に属する勘定

負債に属する勘定は、右側(貸方)が発生、左側(借方)が減少となります。
例えば、銀行から100,000円現金で借りて来たとします。この場合の仕訳は
1.現金という資産が増えたので、現金勘定は借方(左側)となります。
2.借入金という負債が増えたので、借入金勘定は貸方(右側)となります。 以上を仕訳でみますと
( 借 方 )      ( 貸 方 )
現金 100,000円 / 借入金 100,000円

となります。今度は資産が増えて負債も増えたということになります。


資本に関する勘定

資本に属する勘定は、右側(貸方)が発生、左側(借方)が減少となります。
4級の試験では資本が減少するという仕訳は出ることは考えられませんので、会社設立時の仕訳を抑えておけば大丈夫でしょう。
例として、資本金200,000円を元入金(資本金)として事業をスタートした場合。
1.資本の受け入れで現金という資産が増えたので、現金勘定は借方(左側)で増加となります。
2.資本金という資本が増えたので、資本金勘定は貸方(右側)となります。以上を仕訳でみますと
( 借 方 )      ( 貸 方 )
現金 200,000円 / 資本金 200,000円

となります。今度は資産が増えて資本も増えたということになります。


【損益計算書】

費用に属する勘定

費用に属する勘定は、左側(借方)が発生、右側(貸方)が減少となります。
例えば、電話代5,000円を現金で支払ったという場合は。
1.電話代という費用が発生したので、費用勘定は借方(左側)で発生となります。
2.現金という資産が減少したので、資産勘定は貸方(右側)で、減少となります。以上を仕訳でみますと
( 借 方 )      ( 貸 方 )
通信費 5,000円 / 現金 5,000円

となります。ここでは費用が増えて、資産が減少したことになります。


工事原価に属する勘定

工事原価に属する勘定は、費用と同じで、左側(借方)が発生、右側(貸方)が減少となります。
工事原価とは、工事に要した支出を表すため費用と同じ勘定区分となります。
工事原価はそれ自体を、材料費、労務費、経費などに分類して集計します。
集計の区分が異なるだけで、費用と同じ扱いと覚えていただければ結構です。


収益に属する勘定

収益に属する勘定は、右側(貸方)が発生、左側(借方)が減少となります。
4級の受験では、収益に属する科目は完成工事高と受取利息等がある。
例えば、完成と同時に代金200,000円を現金で受け取ったという場合。
1.現金という資産を受け取ったので資産の増加で現金が借方(左側)となり
2.完成工事高という収益が発生したので収益の増加で貸方(右側)となる。
( 借 方 )      ( 貸 方 )
現金 200,000円 / 完成工事高 200,000円

となります。

 

以上、ここでは、貸借対照表に属する項目(資産、負債、資本)と損益計算書に属する項目(費用、工事原価、収益)を理解し、それぞれが増えたとき、減った時に簿記でいう、勘定のどちら側に記入するかを覚えていただければよいと思います。




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