次の事例を読んで,問題30から問題32までについて答えなさい。
〔事例〕
Eさん(52歳男性)は,地域活動支援センターⅠ型で働くピアスタッフである。先日は,利用者のFさん(45歳,男性)から相談を受けた。
Fさんは,大学2年生(20歳)のころから周りの人が自分のことを噂(うわさ)していると感じ,家にひきこもるようになった。大学3年の春に,心配してアパートを訪ねた母親と地元の精神科病院を受診し,そのまま1年の入院となった。その後定職に就いたことのないFさんには収入がなく,両親の老齢年金に頼る生活がとてもつらいと述べた。Fさんは,Eさんと同じく,大学時代,国民年金には加入していなかったという。Eさんは,自分が利用している制度が使えるのではないかと思い,この制度についての説明を行った。(問題30)
後日,Eさんは,Fさんの話を通して,当時の活動を改めて思い出した。年金不支給決定の取消しと国家賠償を求め,全国の地方裁判所で提訴された「学生無年金問題」である。この訴訟には,地元P市の精神障害当事者,家族,弁護士,精神保健福祉士などが協力して活動していた。また,地域で働いているG精神保健福祉士は,初診日による認定の問題点などについて意見書をまとめ,裁判では証人として意見陳述も行っていた。当時,作業所で働いていたEさんは,「P市無年金障害者をなくす会」を紹介され,このG精神保健福祉士と出会った。 EさんやG精神保健福祉士たちは,精神障害当事者,家族とともに,無年金障害者に対する実態調査,署名活動などにかかわった。(問題31)
その後,G精神保健福祉士からの紹介により,Eさんは仲間を支援する現在の職に就いた。同僚のピアスタッフのように,自身の体験をいかして,今後は精神保健福祉士の資格取得を目指すことを希望している。(問題32) |