精神保健福祉士過去問


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精神保健福祉論(事例2)

次の事例を読んで、問題48から問題50までについて答えなさい。
〔事例〕
 Hさん(34歳、女性)は、38歳の夫と二人で暮らしている。Hさんは高校を卒業して地元の大手デパートで働いていた。26歳のころに現在の夫と職場結婚した。3年前の春ごろから手に汗をかくことが多くなったが、28歳の時にバセドウ病になり治療を受けていたこともあり、そのためだろうと思っていた。しかし、その年の秋から不眠と不安感が増し近所の精神科診療所を受診すると抑うつ状態と診断された。精神科の薬を服用するも気分が落ち込むことが続き、仕事も休むことが多くなって同年11月から休職することになった。Hさんは主治医に復職のためのプログラムを行っている精神科デイケアの参加を勧められた。Hさんは渋々参加するようになったが、家では横になっていることが多く、家事もできなく夫婦の会話も少なくなり夫から離婚の話も出るようになった。そこで、Hさんは夫と別れたくない気持ちもあり、会社に復職を希望し、無理を承知であったが出勤して働いたものの3週間でうつ状態を再発して挫(ざ)折してしまった。デイケアのI精神保健福祉士が相談に乗り、病状が安定した後で、復職について話し合うことを提案した。(問題48)
 Hさんは再びデイケアに通所し始めたが、なかなか病状は改善せず、夫との関係はこじれてしまい、夫は自分の仕事が順調に進まないのはHさんの責任であると責めるようになり、稀(まれ)にではあるがHさんを激しく叱(しっ)責することもあったという。夫は自分から家庭裁判所に離婚の相談に行くようになってしまった。Hさんは、両親とは疎遠になっており相談相手がなく困っていたので、I精神保健福祉士に相談した。(問題49)
 しかし、Hさんの気持ちは落ち込み、I精神保健福祉士の提案することも耳に入らず、何も考えがまとまらない日が続いた。そんなころ、夫の叱責が怖いので自宅に帰らず、両親に会おうと駅に向かい電車に乗ったが、混乱し、知らない町に着いてしまった。駅員がHさんに話しかけても「死にたい」という返事しかしない。目を離したすきに線路に飛び降りようとしたため、駅前の交番に連絡され警察官に保護された。(問題50)




問題48 次の記述のうち、Hさんの復職に向けた取組として、正しいものを一つ選びなさい

1 公共職業安定所で行われているジョブガイダンス事業を活用して、医療機関との連携を図るように勧めた

2 Hさんの職業訓練のために、障害者職業能力開発訓練施設に通所することを話し合った

3 トライアル雇用により、Hさんの就業時間を少しずつ延長していくことを話し合った

4 精神科デイケアのスタッフが、職業能力評価を行うために職務試行法を使ってデイケアの中でテストした

5 地域障害者職業センターで実施している精神障害者総合雇用支援を利用するために、主治医を交えて話し合った

解答:1. 、2. 、3. 、4. 5.    


問題49 次の記述のうち、これからのHさんの夫との関係について、I精神保健福祉士の取った行動として、適切なものを一つ選びなさい

1 Hさんへの精神的暴力は、「障害者虐待防止法」による養護者の虐待に当たるため、速やかに都道府県知事に通報した

2 Hさんは「DV防止法」が規定する暴力の被害者であり、管轄の地方裁判所に保護命令の申立てをするように進言した

3 夫からの精神的暴力は離婚の訴えを起こす正当な根拠であり、Hさんから裁判上の離婚訴訟を行うことを助言した

4 夫からの精神的暴力について、配偶者暴力相談支援センターに相談することができるので、Hさんの気持ちを確認した

5 県の精神医療審査会に対して、処遇の改善を請求することが必要なので、その方法について説明した


(注)1「障害者虐待防止法」とは、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである

解答:1. 、2. 、3. 、4. 5.    


問題50 次の記述のうち、Hさんへの危機介入の展開として、正しいものを一つ選びなさい

1 Hさんを婦人補導院に収容して、保護を行うことが必要であると判断して、収容の手続を行った

2 Hさんの行為は自己の生命や身体を害する行為であると判断されるので、法に基づいて通報した

3 Hさんには自傷他害のおそれがあると判断して、最寄りの市町村長を経て都道府県知事に通報を行った

4 通報を受けて、精神科病院の管理者はHさんに自傷他害のおそれがあると判断して、精神保健指定医2名による措置入院鑑定の診察を行った

5 Hさんは緊急に保護する必要があると判断され、特定医師1名の診察の結果、72時聞の緊急措置入院になった

解答:1. 、2. 、3. 、4. 5.    

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