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精神科リハビリテ-ション学(事例)
次の事例を読んで、問題28から問題30までについて答えなさい。
〔事例〕
Aさん(男性、55歳)は19歳で精神科に初診。統合失調症の診断を受け、以後複数回の入退院を繰り返し、30歳時より現在のU病院に25年間入院している。病棟では穏やかに過ごせているが、退院の意欲は乏しい。既に両親は他界しており、兄弟がいるが、それぞれ結婚・独立していて、経済的に余裕はなく、Aさんの退院後の同居には拒否的である。
B精神保健福祉士は主治医と話し合い、Aさんの退院に向けての取組を検討した。Aさんは当初「今更退院しても暮らしていけない」と不安を表明し、兄弟も「病院で一生を送るのは不憫(びん)だが、入院していた方が本人も幸せなのでは…」と強い抵抗を示していた。B精神保健福祉士は、退院への動機が高まるよう、病院で行っているプログラムへの参加をAさんに働きかけていった。(問題28)
そのプログラムに参加しているうちに、Aさんの疾病や服薬に対する理解も深まり、3か月後には徐々に「退院したい」と希望を述べるようになった。B精神保健福祉士は、Aさん自身の意向も確認しながら、精神障害者地域移行・地域定着支援事業を受託しているV事業所と連絡を取り、地域移行に向けての支援を依頼した。V事業所は担当者を決めて、Aさんへの支援を開始した。(問題29)
Aさんは時折、退院後の生活に不安を漏らしながらも、病院のプログラムに参加し、V事業所の支援も受けて、少しずつ自信をつけていった。一方で、V事業所の支援も受け始めて3か月を過ぎたころ、退院に際しては様々な調整課題が浮かび上がってきた。退院に向けて精神障害者保健福祉手帳の申請と同時に、退院後の生活保護の申請を行った。B精神保健福祉士は、Aさんが民間のアパートに退院することを念頭に、地域での生活に困らぬよう、V事業所と協働しながら様々な調整を図っていった。(問題30)
退院への取組を始めてから半年後、Aさんは25年ぶりの退院を果たし、地域での定着支援を受けながら、安定した状態を保っている。 |
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